【税理士が解説・第2回】代償分割の相続税はどう計算する?代償金と不動産評価の注意点
- 2026.08.11

代償分割とは、特定の相続人が不動産などの相続財産を取得し、その代わりに、ほかの相続人へ代償金などを支払う遺産分割方法です。
第1回では、代償分割と代償財産の基本的な仕組みや、相続税評価額、時価、固定資産税評価額の違いについて解説しました。
代償分割では、相続人間の公平を考え、不動産の時価を基準に代償金を決めることがあります。
今回は、時価を基準に代償金を決めた場合の相続税上の調整計算と、遺産分割協議書を作成する際の注意点について、税理士が分かりやすく解説します。
時価を基準に決めた代償金には調整が必要
代償分割の対象となった財産が特定され、その財産の代償分割時における通常の取引価額(時価)を基に代償債務の額が決められている場合、相続税上の代償財産の価額は、原則として次の方法で計算します。
相続税上の代償財産の価額
=実際の代償債務の額
×相続開始時の相続税評価額
÷代償分割時の通常の取引価額
例えば、相続開始時の相続税評価額が3,000万円、代償分割時の時価が4,000万円の不動産について、2,000万円の代償金を支払ったとします。
この場合、相続税上の代償財産の価額は、次のとおりです。
2,000万円×3,000万円÷4,000万円=1,500万円
実際に支払う代償金は2,000万円ですが、相続税の計算上、支払った人が取得財産から差し引き、受け取った人が取得財産に加える金額は1,500万円となります。
このように、相続人間で実際に受け渡す代償金と、相続税の計算で使用する代償財産の価額が異なる場合があります。
遺産分割協議書と代償金の設定が重要
代償分割を行う場合は、遺産分割協議書に、誰がどの財産を取得するのか、誰が誰にいくら支払うのかを明確に記載します。
特に、次の内容を整理しておくことが重要です。
• 代償分割の対象となる相続財産
• 代償金を支払う相続人と受け取る相続人
• 代償金の金額
• 支払期限と支払方法
• 代償金を算定した基準
遺産分割協議書に代償分割であることを明確に記載せず、相続人同士で単に現金を受け渡すと、税務上、贈与と判断される可能性があります。
また、代償金を支払う相続人に十分な資金があるかどうかも確認しなければなりません。遺産分割協議が成立しても、代償金を支払えなければ、相続人間のトラブルにつながります。
なお、現金の代わりに、相続人がもともと所有していた土地や株式などを代償財産として渡す場合には、その財産を時価で譲渡したものとして、譲渡所得税が発生することがあります。
代償金の設定は相続税まで考えて判断を
代償分割では、相続人間の公平を考えて、不動産の時価を基準に代償金を決めることがあります。
ただし、時価を基準に決めた代償金は、その全額を相続税の計算上そのまま控除・加算できるとは限りません。相続税評価額と時価の割合に応じた調整が必要になる場合があります。
また、遺産分割協議書の記載方法や、代償財産を現金以外で支払うかどうかによって、贈与税や譲渡所得税の問題が生じる可能性もあります。
「代償金をいくらにすればよいか分からない」「時価と相続税評価額のどちらを基準にすべきか悩んでいる」という方は、遺産分割の内容を確定する前に、相続に詳しい税理士へご相談ください。

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