【小規模宅地等の特例・番外編】住民票を移すだけではダメ?税務署が確認するポイントを解説
- 2026.10.15

7・8月のコラムでは、小規模宅地等の特例について、
「老人ホームへ入居していた場合」
“教えて!税理士先生!”こんな場合は使えるの?~小規模宅地等の特例①~
「親と同居していなかった子が実家を相続する場合」
“教えて!税理士先生!”こんな場合は使えるの?~小規模宅地等の特例②~
を解説いたしました。
今回は番外編として、
「小規模宅地等の特例を使うために、住民票を実家へ移しておけばいいの?」
「税務署は住民票だけで同居を判断するの?」
という疑問について解説します。
住民票だけではなく「生活の実態」が重要です
小規模宅地等の特例では、住民票の住所だけで「同居していた」と判断されるわけではありません。
税務上は、その住宅が実際に日常生活の中心、つまり「生活の拠点」だったかどうかが重要です。
そのため、住民票を実家へ移していても、実際の生活が別の場所にある場合には、特例の適用について慎重な確認が必要です
税務署は実際の生活状況を確認します
居住実態を判断する際には、住民票だけでなく、実際の生活状況を総合的に確認します。
主なポイントは次のとおりです。
・普段どこで寝起きしていたか
・配偶者や子どもはどこで生活していたか
・衣類や家具などの生活用品はどこにあったか
・どこから勤務先へ通勤していたか
・ほかに生活の中心となる住宅がなかったか
一つの事実だけで判断するのではなく、生活全体を見て「どこが生活の拠点だったのか」を確認します。
なお、単身赴任など、仕事の都合で家族と別の場所に住んでいるケースもあるため、家族と別居しているだけで直ちに対象外になるわけではありません。
相続対策のために住民票だけ実家へ移したら?
例えば、父が実家で一人暮らしをしており、長男は妻や子どもと別の住宅で生活していたとします。
父の体調が悪くなったため、長男が、
「小規模宅地等の特例を使えるように、住民票を実家へ移しておこう」
と考え、住所だけ変更しました。
しかし実際には、
・妻や子どもとはこれまでの自宅で生活
・仕事にもこれまでの自宅から通勤
・衣類や家具もこれまでの自宅にある
・実家に泊まるのは時々だけ
という状態だったとします。
このような場合、住民票が実家にあるからといって、当然に父と同居していたと認められるわけではありません。
重要なのは、住所を変更したかどうかではなく、実際にその家を生活の本拠としていたかどうかです。
特に相続が近くなってから住民票を変更した場合には、
「いつから実際に住み始めたのか」
「以前の住宅はどうしていたのか」
「なぜ住所を変更したのか」
といった点も含め、生活状況を説明できるようにしておくことが大切です。
住民票だけで判断せず、居住実態を確認しましょう
特に、
「相続前に実家へ住民票を移した」
「親の介護で実家と自宅を行き来していた」
「住民票と実際に住んでいた場所が違う」
という場合には、実際の生活状況を丁寧に確認する必要があります。
小規模宅地等の特例は、住民票だけでなく、実際の居住状況やご家族の生活実態によって判断が変わります。
「自分の場合は特例を使えるのかな?」と気になる方は、ぜひ当税理士法人へお気軽にご相談ください。
状況を整理しながら、特例の適用可否や相続税申告の進め方を分かりやすくご案内いたします。
※本記事は一般的な制度の概要です。実際の適用可否は、相続開始時の居住状況、家族構成、土地・建物の使用状況、相続人の生活実態などによって異なります。

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