【税理士が解説・第1回】代償分割と代償財産とは?相続の仕組みを分かりやすく解説!
目次

相続財産に自宅や土地などの不動産が多い場合、「相続人同士で公平に分けるのが難しい」と悩むことがあります。
不動産は現金のように簡単に分割できません。無理に共有名義にすると、将来の売却や管理をめぐって、相続人同士で意見が合わなくなる可能性もあります。
このような場合に活用される遺産分割の方法が、「代償分割」です。代償分割によって、ほかの相続人へ渡す現金などを「代償財産」といいます。
今回は、代償分割と代償財産の仕組み、不動産の評価方法、相続税の取り扱いや注意点について、税理士が分かりやすく解説します。
代償分割と代償財産とは?
代償分割とは、特定の相続人が不動産などの相続財産を取得する代わりに、ほかの相続人へ金銭などを支払う遺産分割方法です。
そして、相続財産を取得した人が、ほかの相続人へ渡す金銭などを代償財産といいます。現金で支払う場合は、一般的に「代償金」と呼ばれます。
例えば、長男が実家を単独で相続し、その代わりに次男へ現金を支払う場合、その現金が代償金です。
代償分割を利用すると、不動産を売却したり共有名義にしたりせずに、相続人同士の取得額を調整できます。
不動産は現物分割が難しい
遺産分割には、財産をそのまま分ける「現物分割」、財産を売却して代金を分ける「換価分割」、複数の相続人で所有する「共有分割」などがあります。
しかし、相続財産の大部分が自宅や事業用不動産である場合、現物分割では相続人ごとの取得額に大きな差が生じることがあります。
換価分割では公平に分けやすい一方、住み続けたい自宅や事業に必要な土地まで売却しなければならない可能性があります。
また、共有分割は一見公平に見えますが、将来売却するときに共有者の同意が必要です。さらに、次の相続によって共有者が増え、権利関係が複雑になることもあります。
そのため、自宅に住み続ける相続人がいる場合や、事業用財産を後継者にまとめたい場合には、代償分割が有効な選択肢になります。
代償金はどの価額を基準に決める?
代償分割を検討するときに、特に分かりにくいのが不動産の評価方法です。
不動産には一つの決まった価額があるわけではなく、目的によって異なる価額が使われます。
相続税評価額
相続税評価額とは、相続税を計算するために使用する価額です。
土地は原則として路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額を基に評価します。一般的には、実際に売買される価格より低くなることがあります。
時価
時価とは、その不動産が実際の市場で通常売買されると考えられる価額です。「通常の取引価額」と呼ばれることもあります。
相続人間の公平を重視する場合には、相続税評価額ではなく、時価を基準として代償金を決めることがあります。
例えば、相続税評価額が3,000万円でも、実際には4,000万円程度で売却できる不動産であれば、相続人から「3,000万円を基準に分けるのは公平ではない」という意見が出ることもあるでしょう。
そのため、代償金を決める際には、相続税評価額だけでなく、不動産会社の査定額や不動産鑑定士による鑑定額なども参考にすることがあります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税を計算するための価額です。
建物の相続税評価では固定資産税評価額を使用しますが、土地の代償金を決める際に、固定資産税評価額をそのまま時価として扱えるとは限りません。
大切なのは、どの価額を使うのが正しいかを一律に決めることではなく、相続人全員が「何を基準に代償金を決めたのか」を共有することです。
代償分割では不動産の評価方法が重要
代償分割は、自宅や事業用不動産を売却せずに特定の相続人に引き継げる一方で、代償金をいくらにするかについては慎重な検討が必要です。
不動産には、相続税評価額、時価、固定資産税評価額など、目的の異なる複数の価額があります。そのため、どの価額を基準に代償金を決めたのかについて、相続人全員で認識を共有しておくことが大切です。
ただし、時価を基準に代償金を決めた場合、その金額をそのまま相続税の計算に使用できるとは限りません。
「不動産を誰が相続するか決まらない」「代償金をいくらにすればよいか分からない」といった場合には、遺産分割協議を確定する前に、相続に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。相続税への影響を確認しながら、相続人それぞれの事情に合った分割方法を検討できます。
第2回では、時価を基準に代償金を決めた場合の相続税上の調整計算や、遺産分割協議書を作成する際の注意点について解説します。

関連ページはこちら
【税理士が解説・第2回】代償分割の相続税はどう計算する?代償金と不動産評価の注意点
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