【税理士が解説】相続における遺留分・寄与分とは?分 かりやすく解説!
目次

はじめに
相続が発生すると、誰がどれだけ財産を引き継ぐかという問題が浮上します。
相続人の間で遺産分割を行う際には、民法に基づいた法定相続分が基本になりますが、「遺留分」や「寄与分」といった考え方も重要です。
今回は、相続における遺留分・寄与分について、初めての方にもわかりやすく、税理士の視点から解説します。
これらの制度を正しく理解することで、相続トラブルを未然に防ぐことができ、円満な相続手続きに繋がります。
遺留分とは?
遺留分とは、法律で最低限保障されている「相続人の取り分」のことをいいます。
遺言書で一部の相続人に遺産を集中させるような内容が書かれていたとしても、他の法定相続人が一定の割合の遺産を受け取れるよう、民法で権利が保障されています。
【遺留分の対象となる相続人】
∙配偶者
∙子(または代襲相続人)
∙直系尊属(親・祖父母)
※兄弟姉妹には遺留分はありません。
【遺留分の割合】
遺留分は、各法定相続人に法律上保障される「最低限受け取るべき取り分」です。相続人全体で本来相続する合計額(法定相続分)のうち、原則としてその半分(1/2)が遺留分として確保されます。
ただし、直系尊属(親や祖父母)のみが相続人である場合については 法定相続分の1/3 が遺留分となります。
🔹【例①】配偶者と子1人が相続人の場合
∙相続財産の総額:6,000万円
∙法定相続分:配偶者1/2(3,000万円)、子1/2(3,000万円)
∙遺留分割合:法定相続分の1/2
➡ 各自の遺留分金額:
◎配偶者:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
◎子:3,000万円 × 1/2 = 1,500万円
🔹【例②】配偶者と直系尊属(母)が相続人の場合
∙相続財産の総額:3,000万円
∙法定相続分:配偶者2/3(2,000万円)、母1/3(1,000万円)
∙遺留分の割合:法定相続分の1/2
➡ 各自の遺留分金額:
◎配偶者:
2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
◎母:1,000万円 × 1/2 = 500万円
🔹【例③】配偶者と直系尊属(父と母)が相続人の場合
∙相続財産の総額:4,800万円
∙法定相続分:配偶者2/3(3,200万円)、
父・母1/3(1,600万円)を2人で等分 → 各800万円
∙遺留分割合:法定相続分の1/2
➡ 各自の遺留分金額:
◎配偶者:3,200万円 × 1/2 = 1,600万円
◎父: 800万円 × 1/2 = 400万円
◎母: 800万円 × 1/2 = 400万円
🔹【例④】子2人(長男と次男)が相続人の場合
∙相続財産の総額:4,000万円
∙法定相続分:子2人で1/2ずつ → 各2,000万円
∙遺留分割合:法定相続分の1/2
➡ 各自の遺留分金額:
◎長男:2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
◎次男:2,000万円 × 1/2 = 1,000万円
🔹【例⑤】直系尊属(父と母)のみが相続人の場合
∙相続財産の総額:2,400万円
∙法定相続分:父1/2(1,200万円)、母1/2(1,200万円)
∙遺留分割合:法定相続分の1/3
➡ 各自の遺留分金額
◎父:1,200万円 × 1/3 = 400万円
◎母:1,200万円 × 1/3 = 400万円
【遺留分侵害額請求とは】
遺留分を侵害された相続人は、他の相続人や受遺者に対して「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」を行うことができます。
これは、財産そのものの返還を求めるのではなく、
侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを請求する制度です。
この請求は、被相続人の死亡および遺留分が侵害された事実を知った日から1年以内に行わなければなりません。
この1年間という期間は『除斥期間(じょせききかん)』と呼ばれ、たとえ請求する意思があっても、期間を過ぎると請求権が消滅してしまいます。
また、遺留分侵害の事実を知らなかったとしても、相続開始から10年が経過すると、やはり請求はできなくなります。
したがって、遺言書の内容や生前贈与の有無を早期に確認し、速やかに対応することが非常に重要です。
請求の手続きとしては、まず内容証明郵便などで請求の意思表示を行い、それでも協議が整わない場合は、家庭裁判所に調停または訴訟を申し立てることになります。
他の相続人と遺留分についての交渉を行う際は、弁護士への相談をおすすめします。
遺留分の算定は相続税の申告にも大きく影響するため、法的・税務的な観点の両面からの対応が必要になります。
【遺留分の放棄について】
なお、相続が開始する前でも、特別な事情がある場合には相続人が家庭裁判所の許可を得て「遺留分を放棄する」ことが可能です。
これは、例えば生前贈与を多く受けている子どもが、他の相続人とのバランスを考慮して相続トラブルを避ける目的で行うケースなどが該当します。
一方で、相続開始後に遺留分を請求しない選択をすることもできますが、この場合は放棄の手続きは不要で、単に請求しないだけで済みます。
遺留分の放棄は、相続人間の公平性や家族関係の円満な維持にもつながることがあるため、適切なタイミングと目的に応じて活用することが重要です。
放棄にあたっては法律上の手続きを要するため、判断を誤らないよう、あらかじめ専門家に相談してから慎重に進めるのがおすすめです。
寄与分とは?
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人に対し、その貢献度を考慮して相続分を増加させる制度です。
【寄与分が認められる典型例】
∙被相続人の介護や看護を長期間行った
∙無償で事業を手伝っていた
∙多額の金銭を援助し、自宅や店舗を建築した
【寄与分の認定方法】
寄与分の有無やその割合は、まず相続人間の協議によって決めることが原則です。
ただし、当事者間で合意が得られない場合は、家庭裁判所に対して『寄与分を定める処分の申立て』を行い、調停や審判によって判断されることになります。
裁判所は以下の観点から総合的に寄与分を判断します:
∙貢献の内容(療養看護・事業への従事・金銭援助など)
∙貢献の期間と程度
∙相続財産との関係性(財産の維持や増加への具体的影響)
特に療養看護については、単なる同居や訪問程度では認められないことも多く、日常的な世話や経済的な犠牲を伴う実質的な介護があったかが重視されます。
寄与分が認められると、その相続人の取り分は法定相続分に加算され、他の相続人よりも多くの遺産を受け取れることになります。
実際のトラブル例と注意点
【遺留分に関するトラブル】
遺言書で全財産を特定の子1人に相続させる内容が記載されており、他の子が遺留分を主張してトラブルになった 等
→ この場合、遺留分侵害額請求を行い、最低限の取り分を確保することが可能です。
【寄与分に関するトラブル】
長男が介護を一手に担ったにもかかわらず、他の兄弟と同等の相続分になり、不公平感から遺産分割協議が進まなかった 等
→ 寄与分として適切に評価・主張することで、相続分の調整が図れます。
遺産分割における税理士の役割
遺留分や寄与分は、法的な知識だけでなく、相続税の計算にも大きな影響を与える要素です。
相続税申告では、各相続人の取得割合に応じて課税額が変動するため、遺産分割の内容を正確に把握し、専門的に調整することが求められます。
税理士は、
∙相続財産の評価
∙遺留分の侵害リスクの診断
∙相続税申告書の作成
などを通じて、相続のトータルサポートを行います。
まとめ
相続における「遺留分」と「寄与分」は、法定相続分に影響を与える重要な制度です。
これらを正しく理解し、早めに専門家へ相談することで、不要なトラブルを防ぎ、家族全員が納得する形で相続を進めることが可能になります。
当税理士法人では、相続に関する初回無料相談を実施しております。遺留分や寄与分が関係しそうな相続のご相談は、ぜひ税理士にお気軽にご相談ください。

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お気軽にご相談ください。
この記事を担当した税理士

税理士法人Setup
代表
和泉 潤
保有資格税理士・行政書士
専門分野相続業務、会計顧問業務
経歴2011年に国税局を退職後、和泉潤税理士事務所を設立。その後、小笠原保税理士事務所を吸収合併する形で現在に至る。
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